脳科学者で記憶のメカニズムを研究している池谷裕二の最新刊『脳には妙なクセがある』。
池谷さんの本を初めて読んだのは、2001年の『記憶力を強くする』。当時、一般にはあまり馴染みのなかった海馬という脳の器官の働きを解明して、記憶のメカニズムや脳が持つ可能性(そして限界も)を活き活きと紹介していた画期的な一冊でした。
歳を重ねても脳の機能は衰えず、むしろ向上していく可能性を「脳の可塑性」という観点から解明したこの本は、多くの人たちに自分の能力の可能性や希望を与えてくれたことと思います。
さて、『脳には妙なクセがある』も、そうした著者の問題意識が反映された一冊です。脳が持つクセを理解すれば、仕事や勉強のパフォーマンスを向上させたり、楽しい生活を送るためのヒントがもらえます。
私は池谷裕二さんの一般向けの著作しか読んだことがないのですが、脳科学分野での研究成果として2012年に「これまで未解明だった脳内の神経細胞どうしの結合部(シナプス)形成の仕組みを突き止め、米科学誌『サイエンス』に発表」という業績も着実につまれているようですね。
ただし、ご本人も序章で語られているように、焦点がぼやけている面はあります。その分、多くのエピソードや最新の研究成果が盛り込まれているのですが、興味がある方は最初に 『記憶力を強くする』 を読まれることをお勧めします。
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