あなたがいなくても勝手に稼ぐチームの作り方 (アスカビジネス) 岡田 充弘 明日香出版社 2011-01-18 売り上げランキング : 15156 Amazonで詳しく見る |
「…リーダーがオフィスにいないと仕事がまわらない状況は、チーム運営面では大変危険です。チームを長期的に成長させていきたいのであれば、リーダーであるあなたは今のうちに自分がいなくてもまわる状態にしておかなければなりません。」(p.15)
日本の大企業では、リーダーが手本となり、がむしゃらに働く背中を見せるという「風習」がいまだに残っているように感じます。ストイックに働くことに加えて、チームのメンバーを「監督」する…そんなイメージでしょうか。
本書が紹介するのは、それとは正反対のマネージメント術です。
- リーダーがオフィスにへばりついていなくても、確実に成果をあげる仕組みを創りだす。
- リーダーは社外の重要人物との交渉や関係構築に注力すべし。
そのためのチームづくりの考え方をまとめたのが本書です。
生真面目なリーダーなら、「オフィスにいないで外をほっつき歩いていたらメンバーに示しがつかない・・・」と考えるかもしれません。
でも、最も大切なのは、がむしゃらに働くことではなく、仕事を成果に結びつけることにあるはず。そのために、リーダーが自ら動くのではなく、部下の自立と成長を促して、彼ら自身が自発的に働いてくれる環境を作り上げる。これこそが、これからのリーダーに求められる資質と言えるでしょう。
筆者も紹介しているように、慣れないうちは全てを自分でチェックしたくなるし、ちょっとしたミスや不手際もあるでしょう。しかし、そこは我慢してじっとこらえる。そこが成功の大きな分かれ目になるような印象を受けました。
ただし、リーダーは単に外で暇を潰しているわけではありません。
クラウドが安価で誰にでも利用できる環境が整備された現在、外出先でいつでもチームの仕事の進捗を確認できます。情報を共有する仕組みを確立して、それを常に把握するシステムさえあれば良いのです。
顔が見えない分、部下に対しては、細心の配慮が求められます。各メンバーがどれだけ成長しているか、また特定のメンバーに負担がかかっていないか、などを把握することも求められるでしょう。
つまり、オフィスにいないと言っても、リーダーがなすべき役割を放棄するというわけではありません。チームがパフォーマンスを高めるために、リーダーが本来の役割に特化できる仕組みを創り上げようというわけです。
そのためには、高度なスキルや、効果なツール、突拍子もない精神論は必要ありません。Gmail、Googleカレンダー、Googleドキュメント、Skype、Dropboxなど、従来であれば大変高価なものが安価で、しかも特別なスキルなしで利用できる時代へと進化しています。
本書は、ウェブがもたらしてくれたテクノロジーを武器に、低成長の時代における新たなチームマネージメント術を提案してくれています。
個人で仕事をしているノマドワーカーも、ここから学ぶべきことが多いでしょう。
本書はあくまで会社組織を想定したものですが、ノマドといえども他の人たちとジョイントで仕事をすることも多いはず。ここで書かれている考え方や仕組みは、ノマド間での仕事を考える上でも大変に参考になると思います。
以下に目次を掲載しますが、ざっと眺めるだけでも自分に役立ちそうなネタがいくつも見つかるのではないでしょうか。
あなたとメンバーと会社のために最高のチームを作ろう
1章「あなたがいなくても勝手に稼ぐチーム」を作る
- リーダーが会社にいなくても「勝手に稼ぐチーム」の仕組みを作る
- リーダーが社外との関係構築や交渉に専念できる
- リーダーがチーム全体を俯瞰して課題解決にあたれる
- 問題解決の機会を通じてメンバーの自立が早まる
- 誰が急に欠けてもチームがまわるようになる
- 求心力型から遠心力型リーダーへ変化する
2章 変化に負けない仕組みを作る【チーム・マネジメント】
- 強く賢いチームより、あらゆる変化に負けない仕組みを作る
- チームの「ミッション」と「バリュー」を決めて共有する
- チームの目標を3つの視点から設定し、個人目標へ落とし込む
- メンバーの「役割」と「権限」を明らかにする
- チーム全体の仕事量を調節する
- 重要指標をオンタイムで押さえる仕組みを作る
- メーラーを使った双方管理でタスクの漏れをなくす
- 誰が欠けても対応できるよう日常業務をマニュアル化する
- あらゆるスケジュールを見える化し、共有する
- 知り得たナレッジをチームで徹底共有するルールを作る
- マニュアル整備と判断基準の共有でリーダー不在時のトラブルに備える
- マルチロールシステムで役割をときどき入れ替える
3章 チームの生産性を高める【パフォーマンス・マネジメント】
- 「チーム最適」の視点で生産性を高める
- 「時間を奪う要素」をオフィスから徹底排除する
- 「業務の標準化」でチームから迷いをなくす
- 「集中できる環境」をチームで作り出す
- 日々の連絡を密にして「ムダな会議」をスパッとやめる
- 費用対効果の高い「ITインフラ」に思い切って投資する
- メンバーの「ITリテラシー」を底上げする
- 業務をアウトソースしてメンバーは強みに集中させる
4章 メンバーのやる気を高める【モチベーション・マネジメント】
- メンバーがやる気を高める仕掛けを作る
- 普段からプロフェッショナルとしてメンバーを扱う
- メンバーの評価指標・評価結果をガラス張りにする
- メンバーが自分で考える機会を増やし、気づかせる
- オフィスを五感を刺激する環境に変える
- メンターを設けて脱落を防ぐ
- 失敗から学ぶ仕組みを作る
5章 伝達効率を高める【コミュニケーション・マネジメント】
- コミュニケーションの伝達効率を高める
- 「ホウレンソウ」を時代に合ったルールに変える
- 情報共有を徹底し、「単純なQ&A」を減らす
- チーム内のメールは極力簡潔に済ませる
- 些細な要件はメッセンジャーで即時確認し合う
- メールのエビデンス化で「いったいわない」をなくす
6章 会議の生産性を高める【ミーティング・マネジメント】
- 会議のやり方を変えて生産性を高める
- 会議の「目的」と「ゴール」を設定する
- 5W1Hで会議のアプローチを明確にする
- 会議を3ステップで周到にダンドリする
- 会議テンプレートに沿って漏れなくそつなく進行する
- 会議の後処理を即時、速やかに行う
7章 次世代リーダーの【セルフ・マネジメント】
- 身軽で決定力を備えたリーダーを目指す
- リーダーは「結果」と「行動」でメンバーの信頼を勝ち取る
- どこででも働ける身軽さを身につける
- 情報を使いこなすプロになる
- 「タフネゴシエイター」ではなく「グッドネゴシエーター」となる
- 「ロジック」と「感性」を巧みに使い分ける
- 「心」と「体」のケアを怠らず安定したパフォーマンスを生む
おわりに
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