『WebSite expert(ウェブサイト・エキスパート)』34号でFacebook特集が組まれていました。
先日も「エコノミスト」と「週刊ダイヤモンド」のFacebook特集をご紹介したばかりですが、ウェブサイト・エキスパートはより専門的な内容になっています。前二誌が初心者向け・一般向けだとすると、こちらはウェブ業界関係者向け or 企業のPR担当者向けといった位置づけになるかと思います。
そのため、一歩踏み込んだ形になりますが、Facebookが注目されている理由が具体的に、そしてよりはっきりと理解できます。海外・国内の企業が、実際にFacebook上でマーケティングを行なった事例が豊富に掲載されていて、実例に即した形で紹介されているのが強みです。
「知人・友人」フィルタで情報を選り分ける
英語圏ユーザーがインターネットをするとき、ホームの設定が今やGoogleからFacebookに変化していることが最近ではよく言われています。京井良彦さんが『ロングエンゲージメント』の中で記述しているように、消化できる情報量のキャパを、流通する情報量が大幅に上回る「情報過多」の時代になりました。Facebookではログインすると、顔見知りからの情報(つぶやき、写真、ウェブのリンク、「いいね!」、その他のウェブ上での行動履歴)が表示されます。加藤たけしさんが本誌で図式しているように、「信頼的でう情報は信頼できる友人や家族から」というデータがあるようです。つまり、Facebookでは、自分が興味がある必要な情報だけを効果的に取得できるというわけです。
玉石混交な情報の中から、「検索」ではなく「知人・友人」というフィルタを通じた信頼性の高い情報を得られるのがFacebookの強みになるということです。Facebookにはオンラインでの活動履歴を集約して、瞬時に友人に知らせることができます。Facebook以前は、Gmail、Flickr、Youtube、Twitterなど、複数のサイトを利用しなければいけなかったのですが、Facebookはそれらの機能を全て内包しシームレスに接合することに成功したと言えるでしょう。この流れが進めば、検索サイトとしてのGoogleの存在意義も問われてくると思います。
マーケティングツールとしてのウォールの可能性
もう一つ本誌の中ではマーケティングツールとしてのFacebookが強調されています。
Facebookにログインするとウォールというものが表示されます。友人登録している人たちが、どんな発言をしたか、誰にコメントをつけたか、誰と友だちになったか…などの行動履歴の一覧です。Twitterのタイムラインをもっとリッチにしたイメージといえばいいでしょうか。Twitterの場合は、リアルには知らない有名人のつぶやきが流れるケースも多いですが、Facebookの場合は原則はリアルの友だちの履歴だけが表示されます。
マーケティングツールとしてFacebookを活用したい人は、そこに目をつけています。本誌でも紹介されているように2007年5月にFacebookアプリをリリースしました。Facebookという「プラットフォームを公開」して、第三者がFacebook内で動作するアプリを誰でも作れるようにしたわけです。また、近年は「ファンサイト」をつくる企業が登場し、顧客と企業を結ぶコミュニティを構築する事例が増えてきました。
例えば友だちがアプリを使い始めたり、ファンページでアクションを起こした場合、その人の友だち全員のウォールに通知されることになります。つまり、その人が100人の友だちがいたら100人のウォールに「露出」することができるというわけです。Facebookのアクティブユーザー(毎日ログインするユーザー)は約半数(石塚亮)と言いますから、多くのユーザーの目に止まりやすいと期待されています。
本誌ではFacebookを活用するバンダイナムコゲームスの担当者のインタビューが掲載されています。Facebookの可能性、課題、運用のコツなど、担当者が知っておくべきポイントが分かりやすくまとまっています。
1章:インフルエンス
1-1:Facebookはどうして世界一のSNSになったか?……石塚亮
1-2:エンジニアリング企業としてのFacebook……小山哲志
2章:ビジネス
世界を席巻するFacebookとソーシャルメディア後進国の日本……加藤健
事例1:ユニクロ 面白いコンテンツでユニクロを知らない世界にアピールする……取材・執筆 毛利勝久
3章:アプリケーション
バンダイナムコゲームス~ユーザとキャッチボールできるプラットフォームを……取材・執筆 田口和裕
4章:パーソナルユース
4-1:「統合」に見るFacebookのインターフェース……和田裕介
4-2:マイナーホビーのファンページを作る……ただただし
4-3:イベント開催にファンページを活用する……森嶋良子
事例2:サイバーエージェント アプリ,広告,採用にと幅広く活用……取材・執筆 毛利勝久
Web Site Expert #34 | |
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