2010年12月7日火曜日

【書評】クラウドプラットフォームでいま何が起きているのか?


クラウド、アンドロイド、スマートフォンなど、注目のキーワードにフォーカスして、その仕組と要点を分かりやすくまとめた1冊です。

ビジネスモデル、デバイスの特性、サービスの内容など、様々な角度から切り込んでいて、バランスよく全体を把握することができます。

この本の面白いところは、読書をしながら脳を活性化させる仕組みが詰まっていること。「こういうことだったのか」という発見を促す工夫がなされています。

その工夫とは、各章のはじめに筆者から提示される「問題」のことです。そのため、ドック者は、読む前にまず自分の頭で考えるよう促されます。そこから関連するテキストを読んでいくので、内容を消化・吸収しやすくなるというわけです。


例えば、
クラウド:「次の5つのうちクラウド化して意味あるもの、しないほうがいいものは?(1)銀行(2)選挙(3)医療(4)教育(5)娯楽」

アンドロイド:「多くのIT・家電メーカーが『アンドロイド』採用に積極的なのはなぜ?」

アメーバピグ:「セカンドライフが流行しなかった日本で、なぜアメーバピグは盛り上がる?」

ホワイトプラン:「最大手NTTドコモでは通話料無料プランを投入できないのに、ソフトバンクモバイルが「ホワイトプラン」を導入できるのはなぜ?」

ガラパゴス:「よく耳にする『ガラパゴス化』と『ローカライズ』の違いって?」

ウェブに関心がある人なら一度は聞いたことがあるキーワードも、自分なりに噛み砕いてモノにすることに本当の意味があると思います。本の内容を頭に入れるためには、読み始める前に問いを立てるのが最も効果的です。そのための仕組みが本書には最初から組み込まれているわけです。

もちろん、問いを立ててそれに答えるように読んでいくと、当然、筆者の意見に反論したい部分も出てきます。しかし、実は自分なりの考えを形成する上で、そこが一番大切だったりします。

現在の流行に対して、どういう考えを持ってどう対峙していくのか?ウェブ時代のリテラシーを身につけるのにふさわしい一冊です。


知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?
西田宗千佳 神尾寿

徳間書店  2010-11-27
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