Yahooが年内にも検索システムをGoogleに乗り換えるという報道がありました。
大きなニュースですのでその解説は多くの論説が発表されていますが、ここではウェブサイトを運営する個人(あるいは小さな組織)が移行期間までにしておくべきことをまとめてみました。
「うちのサイトはアクセスが増えそうだ」「残念、大幅に減りそうだ・・・」と漠然と認識はしていても、数値化して増減幅を具体的に把握するところまではいっていないのではないでしょうか。もちろん、100%の把握は不可能ですが、事前に把握することで有効な対策を打つことができるためです。
今回はその一つの方法を説明します。ただし、これは最後に説明するようにいくつかの欠点があります。あくまでもざっくりした数字ということをまずは念頭に置いた上で御覧ください。
まずはYahoo!とGoogleの国内シェアを考える
2010年5月27日にネットレイティングスが発表したデータによると、検索エンジンのシェアはYahoo! 53.2%、Google 37.3%(検索クエリー数ベース)となっています。(噛み砕いた解説はここ)
つまり、Yahoo!はGoogleよりも約1.43倍のシェアを占めているわけです。
今回はこれを一つの手がかりとして検証していく方法を紹介します。
アクセス解析で1ヶ月分のデータを検証する
多くの方がGoogle Analyticsをはじめとしたアクセス解析サービスを利用していると思います。
今回はそのGoogle Analyticsで検証する方法を説明しますが、考え方はどのサービスを使っていても同じです。
1.Yahoo!とGoogleからの1ヶ月間のアクセス数を調べる
Google Analyticsで「トラフィック」>「検索エンジン」をクリックして、Googleからの1ヶ月あたりの流入数(セッション)を調べます。恥を忍んで公開すると、この1ヶ月間のノマドワーカースタイルの数字は1,189です。
続いてYahoo!はの数値もチェックします。ノマドワーカースタイルの場合、わずか45・・・
2.1で調べた数値を1.43倍する
Yahoo!のシェアはGoogleの約1.43倍とお話しました。
ノマドワーカースタイルの例で言うと、Googleからの1ヶ月間の流入数1,189を1.43倍した数字=1,700.27が、現在このままYahoo!がGoogleに移行した場合のYahoo!からの流入(予定)数になります。
Googleからの流入数×1.43=移行後のYahoo!からの流入(予定)数
3.2の数値から1で調べたYahoo!からの流入数を引く
ノマドワーカースタイルの例では1,700.27-45、つまり+1,655.27が、Google移行後にYahoo!のユーザーの増減となります。もちろん、この数字がプラスだったら移行後にアクセスが増え、逆にマイナスならアクセスが減少することを意味します。
4.3の数字に「セッションあたりのページ閲覧数」をかける
先程見ていたページで「yahoo」をクリックします。そこに「セッションあたりの閲覧ページ数」と書かれた数字があります。これは、訪問したユーザーが1人当り平均で何ページ閲覧したかを意味しています。このページに書かれた数字は、なかでもYahoo!からアクセスしたユーザーの1人当り平均ページビューが表示されています。
ノマドワーカースタイルではYahooユーザーの「セッションあたりのページ閲覧数」は1.29(少ないですね^^;)。これに3で算出した、1,655.27をかけると2,135.30という数字が算出されます。
この数字が、Google移行後に増えると想定されるページビュー数です。
また、コンバージョン率が分かる場合には3の数字をかけてみましょう。その数字が移行後の成約数の増減になります。
ただ、Yahoo!がおそらく独自のカスタマイズを検索結果に施したりするはずなので、この数字を下回る可能性ももちろん高いです。まあ、50%~70%くらいの範囲になるのではないでしょうか?
このようにある程度、数字の予測ができると必要な対策を事前に取ることができます。
アクセスが減ることが予測されるなら、減少分を広告で補えるのか、あるいはもっと根本的な対策が必要なのかを考えなければなりません。逆に増えるなら拡大のチャンスと見てサイトの充実を図ることもできますし、売上げ増加につながるのなら先行投資を惜しみなくするという判断もできます。
ただし、この方法にはいくつか問題もあります。
・Yahoo!やGoogleは通常の検索の他に、画像検索、動画検索などもあるが、その数値を除外していない。
・Yahoo!は独自のカスタマイズをしてくるので、Googleと同じユーザー体験ができるわけではない。(つまり、Googleと同程度のユーザーが流れてこない可能性あり)知恵袋とかが上位に来る仕様になると思うので・・・
・ネットレイティングスの数字はクエリー数ベースなので、ユーザー数ベースで考えたら、もっと別の数字になる可能性がある。
・@makitaniさんが指摘するように、移行後にGoogleユーザーがYahoo!に鞍替えする可能性がある
ほかにももっとたくさん問題はありそう・・・
ただ、このように具体的な数字で考えると、自分にとっての問題の大きさが切実に分かってきたりします。
もし、皆さんがもっといい方法を考えたら、ぜひ教えてください。
また、私の方法の問題点も指摘してくれたら嬉しいです。